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いちばんくわしい 倉地久美夫DISCOGRAPHY

★以外の作品は、廃盤または入手困難です。
 シングルカセット「遅れて咲く花 c/w オフィヨ」等、詳細不明の音源をお持ちの方・ご存知の方は、当サイトまでご一報ください。Special thanks to: 倉地久美夫、倉光純、倉本高弘、稲田誠、森川良哉、マニュアル・オブ・エラーズ・アーティスツ、FUKUOKA STYLE、Oz Disc、きなこたけレコード、新井輝久、江守望。
 このリストはGESO氏・きじまこう氏の作成したテキストを使用しています。お二人のご協力に感謝いたします(サイト管理人 倉光)

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CD/アナログレコード/ダウンロード

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☆ソロ『6/8.12.09』 MP3/FLACデータ配信 (CAFE OTO DS051、9月下旬ダウンロード販売開始)
1. Train Song(逆さまの新幹線(朗読))
2.Instrumental(逆さまの新幹線(インスト))
3.Asahi(アサヒ!) 4.Cling Film(サランラップ)
5.Full of Miso(味噌がいっぱい)
6.Instrumental II(夜霧の嬉野)
7.A Dam with 30,000,000 Teadrops(30,000,000粒ダム)
8.Best Camera(ベストカメラ)
9.An Event On an Island(集え能古の島)
10.Slow Walker(ゆっくり歩く人)
11.Supermarket Chitose(スーパーちとせ)
12.Here Comes Tatamiya(畳屋が来る)
13.Steel Tower(鉄塔)
14.Soshu Yakyoku(蘇州夜曲)
15.Blues of Blue Natchan(夏っちゃんブルー)

 2009年12月6日(日)と8日(火)、イギリス・ロンドン中心部から少し離れたダルストンにあるカフェ「Cafe OTO」で行われたコンサートの模様を収めたデータ配信によるライヴアルバム。共演は、ギタリストの宇波拓とヴァイオリニストのアンハラッド・デイヴィスのデュオ。8日にはスペシャルゲストとして、スティーヴ・ベレスフォードがピアノで参加している。2008年開店、日本語の「音」にちなんだ名を持つ「Cafe OTO」には、日本で活動している音楽家も多く出演しているが、プログラムは、即興を始めとして何処にも帰属していない音楽が中心。「very, very, very little」と前置きし、英語での曲紹介も交えながら、日本語詩には手を加えずに、歌と朗読とギターを聞かせている。なお、各曲の英題は、ステージでの紹介と異なっており、リリースにあたって付けられたもの。「An Event On an Island (集え能古の島)」や「A Dam with 30,000,000 Teadrops (30,000,000粒ダム)」など、内容を考慮した訳が当てられているものもある。
 前半にソロ、「集え能古の島」以降の後半に共演者、ゲストとの演奏が収められている。即興演奏家でもある宇波拓、デイヴィス、ベレスフォードの演奏は、メロディや流れを追うのではなく、ギターから零れ出る音に呼応するように奏でられており、控えめながら、スリリングな瞬間がいくつもある。「Slow Walker (ゆっくり歩く人)」は、ライヴではよく演奏されているが、録音がリリースされたのは今作が初めて。
Cafe OTO/OTORAKU「KUMIO KURACHI - 6/8.12.9」販売ページ

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倉地久美夫『いいえ、とんでもございません』 CD (windbell four 125、2014年6月6日)
1. 三万年後
2. 臨終
3. エリンギの鬼
4. 鉄塔
5. ゴールデンブラウン
6. 味噌がいっぱい
7. 犬
8. ラブストーリーは突然に
9. 大沢あつし君

 ソロとして、自ら主宰する弦楽楽団トリオラ(現在は解散)として、またトウヤマタケオを始めとする数多くのミュージシャンのストリングスセクションを担当するなどして活動しているヴァイオリン奏者、波多野敦子がプロデュースした異色作。倉地久美夫とトリオラの合体ユニット、「クミオラ」として行ってきたライヴ活動の成果が収められている。カバーイラストも、これまでと異なり、倉地自身の作品ではなく、画家・絵本作家のnakabanが担当(音楽作品の装丁として、トウヤマタケオ、竹村延和、asanaなどがある)。歌詞を掲載したリーフレットには、やはり多くの音楽作品のカバーを手がけている山口洋佑のファンタジックなイラストがあしらわれている。カバー裏の写真は、倉地久美夫の父親、樺山久夫が絵を手掛けた佐賀県「嬉野観光秘宝館」館内にある「ハーレム」を撮影したもの。映画『庭にお願い』にも登場した同館は2014年3月に閉館したが、4月20日は倉地久美夫の他、前野健太、渚ようこ、都築響一らが出演し、閉館記念イベント「嬉野観光秘宝館のお葬式」が行われた。
 全曲、歌とギターとストリングスの共演。ストリングスをバックに歌うというよりも、ストリングスが、あるときはサウンドトラックとして、あるときは登場人物のひとりとして鳴り響く演劇を思わせる。主人公は、もちろん、倉地久美夫の歌とギターである。舞台的だからだろうか、姿と動きが隅々まで見渡せるような躍動感を伝える作品になっている。「三万年後」「エリンギの鬼」、「味噌がいっぱい」(『I hear the ground sing』収録曲の再演)に登場する店名や商品名などの固有名詞の数々も、今作では、舞台装置として、こちら側との橋渡し役を果たしてくれているようである。
 三曲の他者作品が収められているのも珍しい。「臨終」は、山口ケーブルビジョン制作の番組『山口でうまれた歌』の2012年10月の歌として、中原中也の詩に寄せて作られた久保研二作品だが、番組でも倉地久美夫が歌っている(番組ウェブページから聞くことができる)。「ゴールデンブラウン」はイギリスのバンド、ストラングラーズの1982年作品に独自の日本語詞を付けたもの。ライヴで披露されたときから話題を呼んだ「ラブストーリーは突然に」は、テレビドラマ『東京ラブストーリー』の主題歌として大ヒットした小田和正作品。

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★倉地久美夫『逆さまの新幹線』 33RPM 10インチLP (円盤 10EB-102、2012年1月22日)

Side A
1.太陽光パネル
2.逆さまの新幹線
3.中央公園
Side B
1.アクセスポイントと風景
2.蘇州夜曲
3.夜霧の嬉野

 主にギターインストゥルメンタルで構成された6曲入り10吋レコード。映画『庭にお願い』の中でも語られていたように、表現の幅を広げるために、レッスンを受け、練習するという真っ当な方法をとってきたひとでもある。インストゥルメンタル作品は、これまでにも発表されてきたが、『スーパーあさひ』の「エチュード」が示すようにギターの音を探るための習作の役割があるのかもしれない。唯一の歌入りでスタンダードのカバー「蘇州夜曲」も元はヴォーカルスクールの課題曲だったらしい。その意味で本作は習作集、あるいは「アナザー・サイド・オブ」と言えるかもしれない。ミニマリズム、フラメンコ、イギリスのトラディショナルフォークなどを思わせる場面がある。しかし、突如出現する不穏な響きやごつごつした音が倉地作品であることを思い出させてくれる。
 震災後の2011年に東京で録音された。録音とミックスは『スーパーあさひ』と同じく、宇波拓。標題曲は、新幹線の車内でふと耳にしたという「進行方向とは逆向き座っていると歳が若返っていくような気がする」という二人連れの会話から着想されたもので、詩の朗読が付いていたこともある。本人の手になるジャケットのパース画は新幹線の駅のひとつである「新大阪駅」南口を描いたもの。「中央公園」のみ『庭にお願い』サウンドトラックアルバムにライヴバージョンが収められていた既発表曲。「夜霧の嬉野」には『スーパーあさひ』収録の「霧夜の嬉野」のメロディは聞き取れないが、両者の関係は謎である。

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★倉地久美夫『庭にお願い サウンドトラック』 CD (円盤 EBD-116、2011年3月5日)

1.パワーショベル
2.30,000,000粒ダム
3.中央公園
4.ベストカメラ
5.アサヒ!
6.スーパー千歳
7.あつい日本
8.缶詰
9.夏っちゃんブルー
10.あなたの風
11.サランラップ

 菊地成孔のディスコグラフィを辿る過程で、倉地作品に出会い、感銘を受けた元「ユリイカ」編集長、編集者の須川善行が企画した「倉地久美夫フェスティバル」(2006年3月10日~12日、東京・渋谷「ギャラリー・ルデコ」)のライヴ録音。このイベントの空間設計・記録を映画監督・冨永昌敬(『パビリオン山椒魚』、『パンドラの匣』など)が担当したことから生まれたドキュメンタリー映画『庭にお願い』のサウンドトラック盤でもある。「ルデコ」での演奏に取材映像を加えた『庭にお願い』は、「ヨコハマ国際映像祭2009」で公開後、追加取材・再構成を経て、イベント開催から5年目の2011年3月に公開されている(上映期間中、東日本大震災が発生、最終日のライヴ演奏は中止となった)。
 本盤には、3日間行われた「倉地久美夫フェスティバル」から3月11日と12日の演奏を収録。倉地(vo, g)ソロ、京浜兄弟社ゆかりの山口優(kb)とのデュオ(11日)、数年ぶりの復活となった菊地成孔(as)・外山明(ds)とのトリオと、三様の演奏を聴くことができる。全曲既発表曲だが、アルバムとは異なる形態での演奏からは、揺るぎない日常性とそこに噴出する異風景が伝わってくる。プロデュースは、映画と同様、須川善行。選曲・編集は、映画とは別に、独自に行われており、映画では聴けない楽曲も含まれている(映画でしか聴けない楽曲もあり)。カバーを飾るポートレイトは、映画のポスターも手がけた漫画家・高浜寛によるもの。

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★倉地久美夫『スーパーちとせ』 CD (円盤 EBD-113、2007年7月)

 1.あつい日本
 2.身長20m
 3.霧夜の嬉野
 4.庭にお願い
 5.エチュード
 6.ベストカメラ
 7.スーパー千歳
 8.鉄塔
 9.アサヒ!

 ひとり多重録音により作り上げられた作品を、ギタリスト宇波拓が一部オーヴァーダビングを交えてマスタリングし完成した音の織物。『うわさのバッファロー』に収録されていた「鉄塔」のリメイクを含む。前作『I heard the ground sing』でも試みられていた多重性がさらに進められ、複数の人物、あるいは人ならざるものがそこかしこに登場、ばらばらに動いている風景の中で、出会い、すれちがい、そして、ある瞬間、偶然であるかのように符合する。身構えることができない緩慢さの中で、緊張感に包まれる不思議な感触を、ひとり多重録音ならではの独特のタイム感で精緻に描き出している。
 言葉のひとつひとつは、以前にも増して、日常的。ひそひそと、あるいは、大声で、話し言葉が行き交う。そして、ジャケットに登場している自画像の背景はスーパーマーケット。「ベストカメラ」は、九州が拠点の実在の某家電量販店(をモデルにした夢想)のことだとか。あまりにも日常的な。にもかかわらず、見たことがない風景が広がる。「OZ disc」「美音堂」と、倉地作品に係わり続けてきた田口史人が運営する東京・高円寺にあるスペース「円盤」からのリリース(2007年7月より、「円盤」で先行販売)。ジャケットにも登場している、折り紙アーティスト cochae デザインによる「倉奴」折り紙付き。

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★倉地久美夫『うわさのバッファロー』 CD (美音堂 SFS-008、2003年9月30日)

 1996年リリース「うわさのバッファロー」のリマスタリング・リイシュー盤.アーティスト名がソロ表記になったほか,パッケージングデザイン等も一新された.

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★倉地久美夫『I heard the ground sing』 CD (美音堂 SFS-007、2003年9月30日)

1.集え能古の島
2.味噌がいっぱい
3.市長選
4.夏っちゃんブルー
5.中央公園
6.La tierra Estaba cantando!
7.あなたの風
8.畳屋が来た
9.曖昧な太宰府
10.300,000,000粒ダム

 2003年5月10日~14日、7月13日~16日に、東京 調布市布田のPEACE MUSICで録音された4年半ぶりの新作。『うわさのバッファロー』以来となる菊地成孔(sax)、外山明(ds)とのトリオを中心とする音は、言葉による風景の変容に寄り添うように自在に形を変えるが、ごつごつ、ざらざらとした現実感を保持し続ける。実在の場所、実在の人物、固有名詞の頻出に、うっかり頬をゆるめると、たちまち見知らぬ風景に取り込まれてしまうにちがいない。
 自作詩の朗読で勝負を争うことで注目を集める「詩のボクシング」で披露された「曖昧な太宰府」や「La tierra estaba cantando!」、オムニバスアルバム『Qu'ets-que c'est?』収録の「井草のスプレー」を改題した「畳屋が来た」など、11曲を収録。(この紹介文は、ラフミックスにもとづくものです。)

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倉地久美夫『夏をひとつ』 CD (きなこたけ きなこ-6、1999年2月)

1. ファミリーワルツ 
2. 観月祭
3. 快楽マン
4. 富士さんの焚き火
5. 朝6時
6. サランラップ
7. 缶詰
8. 目隠しビーム
9. エイ
10. 日陰まわり

 繊細なギターとストレートな歌をベースに、ひとりで演奏やヴォーカルを重ねた多重録音アルバム。かつての多重録音カセットに通じる密室的な雰囲気もあるが、演奏そのものはライヴ演奏と変わらない力強さを持っており、ねじれを感じさせない開放的で落ち着いたサウンドを聞かせる。
 1997年12月~1998年11月にかけて、自宅、九州の練習スタジオなど(RCS studio、studio STAFF等)さまざまな場所で断続的に録音された10曲は、ポップな「観月祭」、ラテン調の「目隠しビーム」、ギターインストゥルメンタル「午前6時」、眩惑的な「缶詰」など、バラエティに富んでいる。
 カバーイラストは、『太陽のお正月』同様、倉地自身の作品。なにかが起ろうとしているのか起ったあとなのか、不穏な空気をはらみつつ、静けさが伝わってくる。

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倉地久美夫『エイ/観月祭』 45RPM 17cm EP (OZ Disc OZD-023、1996年11月25日)

写真面
1. エイ
マンガ面
1. 観月祭

 『うわさのバッファロー』発売記念ライヴで配布された限定150枚の7インチシングル。収録されている「エイ」「観月祭」は、1999年の『夏をひとつ』にも収録されるが、ここではアコースティックギターによる弾き語りバージョンが聞ける。1995年11月、Misty studioで録音。

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倉地久美夫・菊池成孔・外山明『うわさのバッファロー』CD (OZ Disc OZD-21、1996年9月15日)

1. しまうまタクシー
2. 卒業生
3. 鉄塔
4. うわさのバッファロー
5. パワーショベル

 倉地(g, vo)・菊地成孔(sax)・外山明(ds, saber)のトリオによる演奏を収めたアルバム。3人の連名で発表されている。演奏曲はすべて倉地作品であり、倉地久美夫のリーダーアルバムと言っていいが、呼応しあう演奏が、詞の風景をいきいきとしたものにしており、連名であることを納得させる。『太陽のお正月』と一部重複するが、5曲を収録している。
 「しまうまタクシー」「うわさのバッファロー」での奇妙な会話や「卒業生」「鉄塔」に見られるひそやかな交歓風景は、幻想のなかでの日常性を描いているが、ユーモラスな語り口と絶妙な演奏の応酬により、聞く者は、日常的な感覚のまま異界へといざなわれる。
 ブックレットの内側には、彼の漫画作品が掲載されている。詞と同じく、異界へつづく風景を描く倉地作品の一端に触れることができる。1995年11月、東京 Misty studioで録音。

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倉地久美夫『太陽のお正月』CD (きなこたけ きなこ-2、1995年12月)

1. 二刀流
2. 8ミリ監督
3. マングース対コブラ
4. 卒業生
5. 猫町
6. 30人バス
7. 夢枕
8. 太陽のお正月
9. 犬
10. シマウマタクシー
11. Midnight Skater

 長い活動を経てようやく発表された初のフルアルバムで、アコースティックギターのみによるソロ演奏とトリオ編成によるフリーフォームな演奏の二つの面をあわせて収録している。本作品で、それまでとは異なる作風を提示。現在の倉地久美夫の出発点と言っていいかもしれない。
 アジャ・クレヨンズにも参加していた菊地成孔(sax, pianica)、菊地とともにティポグラフィカで活動していた外山明(perc)を迎えた倉地久美夫トリオは、本作品が初録音。「卒業生」「猫町」「シマウマタクシー」などで息の合った演奏を聞かせる。ソロ演奏では、標題曲の「太陽のお正月」や、2002年の「詩のボクシング」第2回全国大会で注目を集めた「30人バス」など、聞く者を異世界へと引き込む語り口が発揮されている。1995年8月23日、中野 ハルコロ山田邑(ライヴ)と1995年9月 15日、天野音響技術研究所(スタジオ)で録音された11曲収録。カバーイラストも、倉地自身。